味覚のふしぎ

こどもの味覚は、10歳ころまでに発達するといわれています。

乳幼児期から学童期にかけて、どれだけの食材や料理を食べてどんな味をあじわったか、よく噛んで食べる大切さが理解できているか、誰とどんなふうに食事をしたか・・・など、さまざまな食に関わる経験がその後の嗜好(食べものの好み)の幅を広げることになり、大人になってから自分で選びとる食事にも影響を与えることになります。

だから保育園で育つこどもたちには、薄味の和食をたくさん味わって食材そのものの本当のおいしさをいっぱい知ってもらい、大きくなってからも和食が好きでいてほしいと願うのです。

海外に行くと日本の料理が食べたくなったり、小さいころに食べたことのある”おばあちゃんの味”や、おふくろの味が大人になってから恋しくなったことはありませんか?そしてその味は、再び食べた瞬間にそのときの風景やなつかしさまで思いおこさてくれるのです。昔よく食べた懐かしい味とか、どこそこのラーメンは美味しかったとか、あのひとあそこで食べたっけ・・・とか。そんなふうに思い出に残る味は、実は嗅覚として記憶しているんだそうです。

私たちが感じている味は甘味、塩味、苦み、酸味、うま味の5つの基本味です。これらの味は舌にある未蕾(みらい)という味細胞で感じます。うま味は、身近な食材ではかつお節やしいたけなどに含まれています。

甘味はエネルギー源の味、塩味はミネラルの味、うま味はタンパク質の味と、身体に必要な栄養素の成分を美味しいと感じ、反対にに苦味は薬物や毒、酸味は腐敗したものというように、身体に害のあるものも感じ取ります。味覚は人間が生きていくために何を食べたら良いのかを判断するためのセンサーなのです。

ところで、5つの基本味の中に辛味が入っていないのはどうしてでしょうか。それは、辛味は味蕾ではなく痛覚を刺激して感じる味だからです。

おいしい・まずいなどの味の世界が、たった5種類の味が組み合わさって感じられているなんて、味覚って不思議ですね。